離婚協議書とは何か ― なぜ今、きちんと残す必要があるのか
離婚は、人生の中でも大きな決断の一つです。
感情的な対立や精神的な負担が大きい中で、話し合いが進められることも少なくありません。そのような状況下で「口約束」や「簡単なメモ」だけで離婚条件を決めてしまうと、後々深刻なトラブルに発展する可能性があります。
離婚協議書とは、協議離婚をする際に、夫婦間で合意した内容を文書として明確に残すものです。
財産分与、養育費、慰謝料、年金分割、親権など、離婚後の生活に直結する重要事項を整理し、双方が合意した証拠として残します。
離婚届を提出するだけでは、これらの取り決めは公的に証明されません。
「言った・言わない」「そんな約束はしていない」といった争いを防ぐためにも、離婚協議書の作成は極めて重要です。
ポイント
知っていますか?米国、イギリス、ドイツ等では協議離婚は認められていません。裁判所が関与します。日本は夫婦間で話し合い、離婚する協議離婚が認められています。その分夫婦間で、きちんと取り決めをして離婚することが重要です。
離婚協議書を作成しない場合に起こり得るトラブル
離婚協議書を作成しないまま離婚してしまうと、次のような問題が起こりやすくなります。

養育費が途中から支払われなくなる
財産分与の約束が守られない
慰謝料の支払方法や期限を巡って争いになる
親権・親子交流について認識の違いが生じる
離婚協議書に記載すべき主な内容
離婚協議書には、以下のような事項を明確に記載します。
1.離婚の合意
双方が協議の上、合意して離婚することを明記します。
2.親権・監護権(未成年の子がいる場合)
- 親権者は誰か(離婚届にも記載されます)
ポイント
2026年4月から民法改正により、親権者を片方の親に決める選択肢だけではなく、両親が親権を持つ共同親権も選べるようになります。
3.養育費
- 金額
- 支払方法(振込など)
- 支払期限(毎月何日まで、何歳まで等)
4.親子交流
- 頻度
- 方法
- 場所
- 連絡手段
5.財産分与
- 対象となる財産
- 分与割合
- 支払方法・期限
6.慰謝料(ある場合)
- 金額
- 支払方法・期限
7.年金分割
- 合意の有無
- 按分割合
8.清算条項
「本協議書に定めるもの以外に、双方に一切の債権債務がないこと」を確認する条項です。
これらを曖昧な表現ではなく、具体的かつ客観的に記載することが重要です。
離婚協議書から公正証書までの作成手順
① 離婚条件の整理・ヒアリング
まずは、夫婦双方の意向を整理してください。
感情面と法律面を切り分けながら、何をどのように決めるべきかを明確にします。決まった内容を行政書士に伝えます。
ポイント
行政書士は法律上、夫婦の間に入って内容の調整はできません。
② 離婚協議書(案)の作成
合意内容をもとに、法的に有効かつ将来トラブルになりにくい文案を作成します。
表現の一つひとつが将来の解釈に影響するため、専門的な視点が欠かせません。
③ 内容の確認・修正
双方で内容を確認し、必要に応じて修正を行います。
納得できる形になるまで丁寧に調整します。
④ 公正証書作成のための準備
公正証書にする場合、公証役場との事前調整や必要書類の準備を行います。
⑤ 公証役場で公正証書を作成
公証人の面前で内容を確認し、公正証書として完成させます。
ポイント
公正証書のオンライン化が始まり、公証役場に直接行かなくてもよくなりました。その際、オンラインでのやり取りが必要になりますが、幣事務所ではそのお手伝いもすることが出来ます。
公正証書にするメリットとは
離婚協議書を公正証書にする最大のメリットは、「強制執行力」です。
養育費や慰謝料の支払いについて
「支払いを怠った場合は、直ちに強制執行を受けても異議はありません」
という条項(強制執行認諾文言)を入れることで、裁判を経ずに給与差押え等が可能になります。
これにより、
- 支払いの実効性が高まる
- 相手方に心理的な抑止力が働く
- 万一の際も迅速な対応が可能
といった大きな安心感を得ることができます。
ポイント
法改正により、法定養育費という制度ができましたが、これは子供の最低限度の生活の維持に要する標準的な費用の額等を勘案して政省令でさだめるものです。養育費を夫婦間で協議して離婚協議書を公正証書にする必要性がなくなったわけではありません。
行政書士に依頼するメリット
離婚協議書はインターネットの雛形でも作成できますが、個別事情を反映しない文書は危険です。
行政書士に依頼することで、
- 法的に無効・不利な条項を防げる
- 将来のトラブルを見据えた文案が作れる
- 公正証書化まで一貫してサポートできる
- 感情的な対立を和らげ、冷静な協議を促せる
といったメリットがあります。
人生の再スタートを安心して切るためにも、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
まとめ ― 離婚後の安心は「書面化」から始まります
離婚協議書は、過去を整理するための書類ではありません。
離婚後の生活を守るための、大切な約束の証です。
「円満離婚だから大丈夫」
「そこまで大げさにしなくても」
そう簡単に考えないでください。養育費を受けっとっているケースは、母子家庭でたったの28パーセントです(令和3年、厚生労働省の調査)
当事務所では、依頼者様の状況に寄り添いながら、将来を見据えた離婚協議書・公正証書作成を丁寧にサポートいたします。
離婚についてお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。